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子供たちを生物好きにさせるためには

先日、保護者の方から「子供が物理や化学は得意だけど生物(生物学)が苦手だ」という話を聞きました。確かに生物に関する学校での勉強は名前を覚えることが多くて、歴史や地理のように暗記科目のようなところがあります。覚えていないとテストでは点数が採れない。興味がないと覚えられない。生物はそんな科目かもしれません。テストで点数を取るための勉強法というのはありますが、サイエンス教室では「好きになれば自分から勉強をするようになる」という方針で、子供たちを教育していきたいと思っています。
そこで今回は、大人になっても生物が好きというメンバー(主に理学部・農学部出身者)に生物を好きになるきっかけをお聞きしました。どんなことがきっかけで生物に興味を持つようになったのか、子供たちが生物を好きになるヒントがあるのではないかと思っています。
<Aさん(女性)>
小学生の頃、毎年夏に祖父とカブトムシとクワガタ採りに行っていました。その他、カエルを卵から育ててみたり、トンボをつかまえてみたり、キノコ狩りに行ったり…。やはり自然と触れ合う実体験が生物好きに繋がった気がします。あとは、採ってきた生物がなんていう名前なのかとか、何の仲間なのかとか、小学生用の図鑑でよく見比べていました。それから小学5年生くらいで父親から簡易顕微鏡をもらい、金魚を飼っている水の中などを観察していました。かなりはまっていったような気がします。
<Bさん(男性)>
小学生の頃、川や海で釣った魚を図鑑と照らし合わせていたことを覚えています。やはり、体験することが好きになる近道だと思います。
<Cさん(男性)>
僕は「命」をリアルに感じたときに生物に興味を持ちました。小さい頃からいろんなものを捕まえては殺してきたけれど、そんなことの積み重ねの中からいつからか「生きているってすごいことだ」っていう感覚になってきました。生き物を大切にするっていうのはもちろん大切なことだけど、死とか他の生き物を殺すとかが最近ではあまりにも遠ざけられすぎていて、逆に命とか生きるってことがうまくイメージできなくなっているのではないかと思います。
<Dさん(女性)>
私は「生きる」を知りたくて生物好きになりました。小さい時にありんこを見つけては踏みつぶしていましたが、一匹一匹に命があることを意識したときの嫌悪感は今でも覚えています。
<Eさん(女性)>
私は自分の体や身の回りの動植物と授業で習っていることが結びついたとき楽しくなりました。たくさんありますが、こんな時に楽しいと思いました。「ご飯食べていて『変なところ入ったー!げほげほ』ってなるのは、この肺胞に入っているときだよ。」って臓器の授業を受けたときです。
<Fさん(女性)>
小学校低学年の頃に蟻の巣の入り口をいろんなものでふさいで遊んでいました。花、葉、石、砂糖、塩、お菓子、水…。巣のなかに持っていくものもあれば、入り口からどかすだけのものもあって、毎日「これはどうだ!」って入口塞いでいましたね。今考えると自分で考えながらも、結果が分かりやすいし、動きがあるので見ていて飽きない実験もどきだったのだと思います。
<Fさん(男性)>
中学・高校の頃にNewtonをよく読んでいて、きれいな生き物の写真に感動しました。最初に買ったNewtonにコモドドラゴンが特集されていたことは今でも覚えています。
<Hさん(男性)>
生物で感動したのは、学校の授業で体験したミジンコとか微生物の顕微鏡観察、唾腺染色体の観察、動物の解剖、組織切片の観察などです。あと、生きもの地球紀行って番組が好きでした。
<Iさん(男性)>
子供の時は、昆虫とか毎日取りにいっていました。名前がたくさんあって、図鑑見ながらおぼえるのが楽しかったです。珍しい昆虫にワクワクしていました。今でも顕微鏡はワクワクしながら観ています。
<Jさん(女性)>
興味を持ったきっかけは、押し花です。あと山が好きだったからです。小中学生のころには、夏休みの理科の自由研究が生きがいみたいになっていました。
<Kさん(男性)>
父親がアゲハ蝶の一生を観察させるためにベランダでミカンの木を育ててくれました。どこからともなくアゲハ蝶がやってきて、卵を産み、蝶に成長するまでを観察することができました。
いろいろな意見を聞いていると、生物に興味を持たせるためにはやはり生き物に触れるのが一番良い方法だと思います。日々の遊びの中で生き物に触れる機会があればベストだと思いますが、そういった機会が少ない場合は親子で一緒に生き物を育てたり、川や海や森に遊びに行ったりする機会をもうけることが子供を生物好きにするのかもしれません。
動物でも植物でも生き物を育てることは非常に難しく、私も今までに多くの動物を殺してしまい、多くの植物を枯らしてしまいました。物理や化学の実験と違い、方法は正しくても上手くいかないのが生き物を使った実験(飼育)だと思います。あまりに失敗ばかりしていると生き物を育てることがためらわれてしまうかもしれませんが、失敗を含めた経験の中から生き物の複雑さ、繊細さ、賢さ、美しさ・尊さを知って欲しいと思っています。生物を学ぶことの基本は生き物を良く観察することです。サイエンス教室でも生き物に触れる機会をできるだけ多く設け、子供たちにたくさん観察してもらい、生き物の魅力をたくさん知ってもらいたいと思っています。
今回のアンケートは私の大学時代の友人・先輩・後輩に協力してもらいました。
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


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